自転車に乗れない原因は?運動音痴な中学生と大人が練習した結果は?

自転車に乗る子供 日常生活

自転車に乗れない原因って何でしょうか?

今どき「自転車に乗れない」なんて恥ずかしいのですが、我が家では私と娘が乗れませんでした。

昔は単純に「運動音痴だから」と考えていたのですが、それだと自転車に乗れないままで終わってしまいます。ですので、自転車の練習をしてみようと思い立ち、実際に練習してみたところ、なぜ乗れないのか、どうやったら乗れるようになるのかを頭と体で分かってきました。

今回は、運動音痴な大人と中学生の子供が自転車の練習で気付いたことや、出来るようになったこと等をお話しします。

ちなみに、現在のレベルは以下の通りです(補助輪なし自転車で練習中)。

母 → 一応平坦な道(サイクリングロードのみ)なら恐怖心なく乗れる。
娘 → もう少しで両足でペダルを踏めそうな段階。

スポンサーリンク

自転車に乗れない原因は?

自転車に乗れない原因は、バランス感覚の欠如が一番大きい。

というのが私が練習していて感じたことです。
もちろん、運動音痴なのが原因として繋がっているのですが、運動音痴でもバランス感覚が多少あれば、自転車に乗れるという人もいるんですよね。

でも、我が家の場合は自分の感覚で、バランス感覚が悪いんだなあ、ということを常日頃から感じておりました。

運動音痴な子供の母も運動音痴だった

運動神経の良い人なら、「自転車なんて練習しなくても乗れるでしょ?」と言ってしまう人もいます。
我が家は家族揃って発達障害があるのですが、私自身は自分が発達障害だと気づかずに育ったため、定型発達の枠の中で小さい頃から様々なことで苦労してきました。運動音痴で一人だけ徒競走で50m走で10秒かかってしまいクラスメイトに遅いと馬鹿にされたり、体は大きいので騎馬戦で大将騎のグループにさせられたものの、筋力が乏しいので大将を支えるだけの腕肩の力が無くて疲労困憊になったり。

中学生の遠足では、班の自由行動がサイクリングになってしまい、仕方なく近所の人に自転車を借りて練習し、なんとかその時だけ乗れるようになったこともあります。(でも、付け焼刃でおっかなびっくり状態だったため、その後すっかり乗り方を忘れ、大人になったら全く乗れなくなっていました。)

そんな体験ばかりだったせいか、自分の体がその時にどんな状態かを観察する習慣がついていました。

そして、子供が自転車の練習をすることになり、自分でもやってみようと思い一緒にやってみて改めて実感したのが、自分のバランス感覚の悪さです。

バランスが悪い人が自転車に乗ると陥る、とんでもない事態とは

ココから先は、自転車に乗ることが当たり前の感覚の人には理解できないと思います。

自転車に乗ろうとする際の流れを細かく書くと、以下のようになると思います。(普通に乗れる人にとっては一瞬、または途中省略かもしれません。)

(1)自転車をまたぐ
(2)右足(または左足)をペダルにかける
(3)体全体で前へ進む
(4)ある程度進んだところで、左足をペダルにかける
(5)ペダルを踏む

でも、バランス感覚が悪い人の場合、
最初は(3)「体全体で前へ進む」のところでバランスを保つのが大変だし、
何度も練習してバランスが少し良くなったかな、と思うと

次に(4)で左足をペダルにかけるところで体が緊張してしまい、そこでバランスが崩れるし、

更に、(5)でペダルを踏む際に、足だけでなく体全体の体重が足にかかってしまい、そこでバランスを崩すんです。

このことを、運動神経の良い夫に話したところ、「そんなことあり得ない!理解できない!」と唖然とされました。
ですが、バランス感覚が悪い私にとっては、これが自分の体の状態だし、そういうものだと思って人生50年近く生きてきたんですよね(;^ω^)

バランスが悪い原因

そして、なぜバランス感覚が悪いのかを調べてみると、

昔からよく言われていたのが耳の三半規管ですが、それ以外にも、目や皮膚、体の深部(内臓と皮膚の間)の感覚なども影響するのですよね。そして、突き詰めていくと、脳幹や大脳、小脳など脳の働きが根本にあり、自律神経系とも大きく関わっています。

参考資料:ウィキペディア-平衡感覚

ということで、脳の成長がアンバランスな発達障害児にとっては、バランス感覚というのは超難問なんですよねえ。(夫はアスペルガー症候群のはずなのに、なぜか体のバランス感覚だけは優れているのがとっても不思議なのですが。)

では、こんな子供はどうやって自転車の練習をすれば乗れるようになるのでしょうか。

自転車に乗れない子供の練習は?

自転車に乗るためには、
補助輪付きの自転車→慣れたら補助なしに載る。
ただし、不安な場合は親が後ろで支えるなど補助する。
というのが一般的ですよね。

でも、だいぶ前のことですが、小さい子供向けのスライダーという、ペダル無しの小さい2輪車が発売されてから、2~3歳の子供でも勢いよく足でキックして運転し、バランス感覚を身につけていき、すぐに自転車に乗れるようになるのだとか。

子供時代の我が家の練習は、練習にならなかった

うちの娘の場合はスライダーを知ったのが小学生になってからだったため、小さい子供向けのスライダーで練習し直すという方法は身長の問題もあり、無理でした。

そもそも、娘の場合は発達障害の特性なのか、自分からペダルを漕がなければならないという意識が欠落していたので小学生になっても満足にペダルを漕ぐことができませんでした。ですので、今思うとあの当時は何を練習させても無理だったろうと感じます。

ちなみに、小さい頃は以下のような状態でした。

・2歳頃に三輪車を購入→自分で全くペダルを踏まず、後ろで私が取っ手を押して三輪車が動くのを待ち、動くのを喜んでいました。(この当時は、発達障害児にありがちな「クレーン現象」をモロにやっていて、自分で何かを掴みに行くことがなく「全て母にやらせる」傾向が顕著にありました。)
・幼稚園~小学校3年頃→補助輪付きの自転車で練習させたものの、体の動かし方が分からずペダルを踏むスピードが異様に遅かったです。

こんな状態だったので、ほとんど自転車に乗ろうとせず、体が大きくなり自転車の12インチが乗れなくなるのを機に捨てて、一切やめてしまいました。

発達障害児の特性で、「本人がやる気にならない場合には、やらせようとしても無理」というのがあり、今考えてもあの当時に自転車に乗れるように努力するのは無理だったなあ、と感じてます。

スポンサーリンク

自転車に乗れない中学生はどうする?

自転車に乗る意欲が出た理由は?

でも、中学生になってから再び自転車に乗る練習をするようになりました。(正確には小学校6年生の3学期頃からです。)
これは、色々理由があるようですが、自転車に対する本人の興味が湧いてきたというのが大きいです。具体的な理由としては、以下のようなことがあります。

・自分の憧れている人は皆、自転車に乗れる(だろう)
・自分より小さい子供がスイスイ自転車に乗っている(ので自分も乗りたい)
・近くの公園に貸自転車とサイクリングコースがある
・「お母さんも一緒に練習しようかな」と言って母が隣で乗っている

自閉症って本当に外に目が向かないんですね。この数年間、様々な支援者のお陰でようやく外に目が向くようになりました。

そこに様々な人から刺激を受けてはじめて「自転車って小さい子供でも乗れるんだ!?」という事実に気付き、それなら自分も自転車に乗ってみようかな、という気になってきたのです。

自転車に乗るための練習方法は?

自転車に乗るための最短手段は、ペダル無し自転車で練習することです。

幸い、我が家の近くにサイクリング出来る公園があり、そこには様々な貸自転車があるので練習しようと思えばいくらでも可能です。まあ、娘は体力がないので1回につき30分程度しかやれませんし、月に1〜2回程度の頻度ですね。
(補助輪付き自転車は18インチまで、ペダル無しの自転車は22インチまで、普通の自転車は27インチまであります。)

最初は補助輪付き18インチで練習していたのですが、体が大きくなると足が長くてペダルが踏みづらくなりますよね。それを見ていた貸自転車の担当の方が、

「補助輪のある自転車でなく、ペダル無しの自転車でバランス感覚を養う方が早く乗れるようになるよ」

と言って、その場で以下の練習手順を実演してくれたのです。

(1)ペダル無し自転車に乗って両足でキックして進む
(2)左右の足でキックして進む距離を少しずつ伸ばしていく
(3)普通の自転車で、ペダルに足をのせて踏む。

まあ、運動音痴だから難しいだろうと感じたものの、担当の方がとても親切に教えてくれたので、その光景をインプットしてイメージしながら子供と練習しました。

最初は子供一人だけだったのですが、数ヶ月経過した時点で「実は私も乗れないんです」と言ったら、「じゃあ、お母さんも一緒に練習した方がいいから」と追加で自転車を貸してくれたので、これを機に私も練習することにしました。

自転車に乗れない大人の私が乗れるようになった方法

実はこの時、『昔乗れなかったのだし、もう無理だよ?恥ずかしいし、どうしよう・・・』という気持ちがあったのですが、やってみたらバランス感覚のことが体で理解できたし、矯正できたので、すごく勉強になりました。そして、今はある程度は平たんな道なら走れるようになったので楽しめるようになっています。

ちなみに、私は身長168cmなので自転車サイズが26~27インチになり、当然ペダル無し自転車がありません。貸自転車なので、ペダルを外すこともできず。
ですので、最初から普通の自転車でペダルを使わずキックだけで走らせる練習をしつつ、自分のバランス感覚がどうなっているのかを常に観察していました。チェック項目は以下のような感じです。

・体のどこに力が入ってしまうのか
・方向がぶれる場合は手首に力が入っていないか
・ペダルを踏む時にぶれる場合には、足に力が入っていないか
・体全体で操作してしまう場合は、少し力みを緩めることができないか

そして、ここまで自分の感覚が理解できるようになったら、脳内のバランス感覚のイメージを味わうのを試みてみました。

・右脳と左脳のバランスがどうなっているか。
・どちらか一方だけ血流が悪くないか。
・両方ともちょうど良いバランスにならないか。

ただ、実際に脳内のバランスは分からないので、あくまでも自分の感覚のイメージを抱いてみる程度ですが。

バランス感覚が良い人って、力みがないんですよね。恐らく、「体幹がしっかりしているから」不必要な箇所に力を入れずに済むのだと思います。

『もちろん、最低限の筋肉は必要だけど、それさえあれば私にだって出来るはず!』

と自分に言い聞かせて、自転車に乗っている間はひたすら体の感覚を掴む行為に没頭していました。

こんな感じで、月に1~2回、約30分程度の練習を約2年行った結果は今のところ以下の通りです。

・3ヶ月くらいでペダルを踏んで20~30m進めるようになった。
・1年くらいで手首や足の力みが取れるようになってきた。
・2年くらいで、ノロノロ運転でも蛇行した際の修正ができるようになってきた。

たぶん、進歩が遅いとは思いますが・・・(汗)

ただし、娘のスピードに合わせて超ノロノロ運転でやっているため、

未だに自分がどの程度のスピードで走れるか不明だし、
坂道を登れるか不明だし、
立ち漕ぎがまだできない、

という状態です。

(娘を残して自分だけスイスイ練習しに行っていいなら色々やってみたい気持ちもありますが、伴走していないと娘がやる気無くすのも心配だし・・・と思って、上記のことは試していません。)

自転車に乗れない中学生の実際の練習と経過

どの自転車で練習するか

私の場合は、かなり自分の体の感覚を掴むことに神経集中して上手くいったのですが、大人と同じことを中学生にやらせるのは難しいですよね。
ですので、どちらかというと、「自分が出来るようになって分かった体感覚を、どうやったら娘が体で掴めるようになるか」を考えつつ、一緒に取り組んできました。

やることは私と同じですが、22インチのペダル無しの自転車が使えるうちは、それでひたすら蹴ってバランスを取る練習を。ただし、運動音痴で蹴る力も乏しい娘なので、最初は歩くのと同レベルで左右の足を動かす程度しか出来ませんでした。

そして、身長が伸びると22インチが厳しくなったので、仕方なく24インチの普通の自転車を使ってペダルを使わずに蹴る練習を行いました。ですが、ペダルがあるのに使わずに蹴る場合、ペダルの外側に足を出さないとペダルが足に当たって痛いのです。そのため、慣れるまで「ペダルが痛くて嫌だ」と言うこともありました。

まあ、これも体の使い方の問題なので、慣れてペダルの外側で蹴るようにすれば大丈夫。徐々に出来るようになりました。そうすると、今度は蹴って走れる距離がどこまで長くなるか、ですが、なかなか上手くいきまぜん。利き足だと比較的長く進めるけど、逆だとあまり進まないなどの気付きを得つつ、地道に練習していました。

そして、やはりペダルが当たって痛いということもあり、ペダルを右足だけ置いてキックするようになり、そうすると少しスイスイ進めるようになっていきました。

とはいえ、後ろから見ていると、まだまだ恐怖心があるのだろうなー、という漕ぎ方だったので、あまり焦らず自分のテンポでやる方が良いだろう、と担当の方からアドバイスを受け、のんびり見守ることにしました。

成長するきっかけは?

こんな感じでずっと続いていたので心配だったのですが、徐々に周囲を見回せるようになっていくと、「自分よりも小さい子供(4~5歳)が自分の2倍以上のスピードで補助なし自転車を乗り回している」という事実に気付き、ショックを受けたようです。
そして、自分も出来るようになりたいという意欲が増したのか、ペダルを右足だけでなく、左足も踏みたいとペダルに足を掛けるようになってきました。

親の一言よりも、年下の子供達から得た刺激の方が、本人には大きく心に響く!

 

ですが、ここは私が練習課程と同じで、

もう一方の足をペダルに乗せようとすると、
→そこで体全体に力が入ってしまうため、
→体が傾いて転倒が怖くなる

という事態になります。

体全体の力を使わないと、足を上に上げることができない、と身体が思い込んでいるのです。
(繰り返しますが、バランス感覚の良い人から見ると、この状態というのは考えられないというか、あり得ない事態なんですよね。)

すぐに自転車に乗れる人というのは、

「怖いと思っているからペダルを踏めないだけだよ」
「踏んでみたら出来るようになるよ」

などと言いますが、バランス感覚が悪い場合は、この言葉を真に受けるとバランスを崩して転倒するだけなんですよね。なので、ここで無理強いさせることはできません。ひたすら、バランス感覚が整うのを待って、恐怖心が減るのを待ってからペダルを踏むしかない、と思います。

また、自転車に乗れる人には、

「スピードを出せば怖くない」
「スピードが遅いから出来ないんだよ」

とも言われます。
でも、バランス感覚があれば、ノロノロ運転でも自転車に乗れるようになる子供もいます。逆に、スピードを出してもコントロールできない場合はどこかで転倒することになります。うちの娘のように、何をやるにも恐怖心がつきまとう場合には、この方法だと失敗して転倒が怖いという気持ちだけが残るので、避けて自分の出来る範囲で動かす方が無難なのです。

そこで、ここの次元でじっと見守ることにしました。

この段階で数ヶ月間かかりましたが、ようやく最近になって、左足でペダルを一歩踏み込むところまで数回出来るようになりました。
まだバランスが整っていないのと恐怖心もあるため1回踏み込むだけで精一杯ですが、恐怖心の強い娘が1回踏み込めるようになったというのは、ものすごい進歩なのです。

自転車練習

バランスを整える方法について

私自身がバランスを整えるためにやったことは主に以下の2つがあります。

・手足の末端を日々マッサージして脳神経を刺激すること
・自転車練習の際に、自転車操縦が上手な子供達の後ろ姿を観察して、力みなく体を使うイメージを自分の体で感じること

バランスが悪い原因を突き詰めると脳神経の問題になるので、脳を刺激すると良いのかなあ、という発想です。あくまでも自己流ですが、手足の末端を日々マッサージして脳神経を刺激して鈍い箇所が活性化するようイメージしていました。

また、Youtubeにも色々なバランストレーニング動画が出ているのですが、以下の動画は特別な道具無しでどこでも手軽にトレーニングできるし、自分の感覚を掴むのに良いと感じてます。

うちの娘の場合、体の感覚がきちんと出来ていないため、

「自分の手がどこにあるのか分からない」
「足が地面についているのか感覚がない」

と未だに言っています。ですので、その感覚を引き出すところから出発しなければならないのですが、下手に器具を使うトレーニングだと難しすぎて挫折してしまうのですが、こういう単純なトレーニングの方が楽しく続けられそうです。

さいごに

以前は「自転車に乗れないと恥ずかしい」と思っていて、娘には乗れるようになって欲しいなあ、と思っていたのですが、最近は「乗れなくてもいいじゃん」と思えるようになり、堂々と「自転車乗れないんですよ」と言えるようになりました。

とはいえ、せっかく自転車練習してきて自分自身もバランス感覚が少し改善できたし、娘もバランス感覚が少し芽生えてきたようで前向きに練習できるようになりました。また、心身のバランスも以前よりも整ってきたのかな、とも感じてます。

なによりも、恐怖心でいっぱいだった娘がぐらつきながらも補助輪なしで自転車練習に挑戦できるようになったのは、ものすごい成長だし、とても嬉しいなあと感じてます。もう少しでスムーズに乗れそうな気がするものの、「あと1~2年かけて乗れるようになれたらいいな」という長期スパンで見守るつもりです。

発達障害児は苦手なことがたくさんあるけど、自転車練習を通じて心と体を整えていけば成長できることに気付かされました。

スポンサーリンク
この記事を書いた人
遅咲き星人の母

小学校と中学校で3回不登校した娘がいる主婦です。
現在は通信制高校のサポート校に通学しています。
娘は発達障害(IQ測定不能)のほか、母子分離障害、不安神経症、体幹の弱さ、感覚過敏(主に触覚過敏、嗅覚過敏、聴覚過敏)が酷くて集団活動が超苦手で勉強の遅れもあります。
でも、この数年間は支援者に恵まれ、親子共に少しずつ自己肯定感がアップしてきました。今は、家族とペット(セキセイインコ)が元気で楽しく過ごせる方法を日々考えながら、楽しく生活してます。

(詳しいことを知りたい場合は管理人名をクリックするとプロフィールページに移動します。)

遅咲き星人の母をフォローする
日常生活
遅咲き星人の母をフォローする
発達障害グレーゾーン★自分探しの旅

コメント

タイトルとURLをコピーしました