中学で情緒障害学級に入れない場合は知的障害学級を選ぶことになるのですが、この2つの違いはかなり大きいのですよね。

ウチの娘みたいなグレーゾーンはどっちを選べば良いの!?
多くの保護者はこのように悩むのではないでしょうか。
ウチの娘は知的障害学級に入学したものの、環境に馴染むことができずに1年半で不登校になりました。母子分離不安があったので付き添い登校までして頑張ったのですけどね。
ただ、我が家だけが特別でもなく、中学生という時期は生徒の多くが悩み、中だるみしたり行き詰ったりする傾向があるようです。
そこで今回は、
・付き添い登校について~疲れたこと、得たこと、周囲との関わり方
・支援級が娘に合わない理由
以上についてお話しします。
★情緒障害学級と知的障害学級の違いについては以下の記事をご覧ください。
→支援級で情緒と知的障害の違いは?情緒障害学級の実例2校ご紹介!
知的障害学級にはどんな生徒がいるの?
入学前のリサーチ
知的障害学級には、コミュニケーションが苦手だったり、社会生活に順応しづらかったり、日常生活にサポートが必要な生徒が在籍します。ただ、判定基準は自治体によって異なるし、学校の中でもその年の入学希望者の特性も全く異なるため、どんな生徒がいるかは実際に入学してみないと分かりません。(3年間在籍していると毎年雰囲気が変わるし、介助の必要度合いも毎年異なるのですよね。)
娘は引っ越す前の自治体で知的障害学級を見学した際には、その教室が落ち着かない雰囲気だったので怖がって入室できませんでしたが、引っ越し後の自治体で知的障害学級の見学した際にはスムーズに入室して見学することができました。
とはいえ、我が家の場合は娘が感覚過敏で不安症だったことから、入学希望する前に「今いる生徒がどんな生徒なのか、入学予定の生徒がどんな生徒なのか」を支援級の先生に聞いて、娘が入学しても大丈夫かを予測しておきました。
入学後に感じたこと
さて、実際に入学して気づいたことですが、娘の入学した知的障害学級は、知的障害といっても生徒の様子を見ると知的レベルが結構高い印象を受けました。
知的レベルが高いと感じる理由は、先生が一度指示すれば、きちんと静かにしたり、行動したりできる生徒ばかりだったからです。加えて、空気を読めるであろう生徒もクラスの半数程度いたのです。
知的障害学級は自分のことだけで精一杯な生徒が多いのかと思っていましたが、中学生で成長している生徒が多いのか、この中学校ではお互いを尊重していく姿勢がすごく強くありました。
そんなわけで、落ち着かない場所が苦手な娘でも、あまり嫌がらずに支援級のクラスの中に入ることができました。
入学後の状況を詳しく書ける理由について
入学後、娘の状況を詳しく書ける理由は、付き添い登校してずっと見守っていたからです。
付き添い登校は、自ら希望して行ったわけではありません。中学校からの入学許可の前提条件として提示されたからやっただけです。この自治体での判定は支援学校となってしまったのを、それだと入学後に問題が生じるだろうと考え、支援級に通いたいという希望を出したところ、中学校から条件を提示されたのでした。)
★中学入学時に提示された条件については以下の記事をご覧ください。
→就学相談の判定が不服な場合どうする?覆すのは可能か悩んだ結果
付き添い登校は疲れたけど得たことも大きい
付き添い登校は、ハッキリ言って疲れます。先生が何人もいる中でじっと見学していなきゃいけないため神経消耗するのです。また、自分の自由時間が沢山奪われます。それに加えて我が家の場合、娘が苦手な物事に遭遇するときに、固まるかパニックを起こす可能性があるためヒヤヒヤすることが多かったです。
ただ、我が家の場合、娘がどんな時に過敏反応を出すのかをじっくり観察できたことが良かったです。過敏反応が起きても、多くの先生はその現象に注目するけど根本原因が分からないのですよね。こういうことは、子供のことに詳しい親だからこそ理解できる、ということもあります。
なぜ過剰反応が起きたのかを推測して先生に報告し、次回対処方法を検討してもらうか、こちらから対処方法の案を出す等が出来るのはすごく良かったです。また、他の生徒がどんなことをやっているのか、どのような問題を抱えて日々生活しているのか等も見られたし、支援級だけでなく学校のことをよく見ることができました。
付き添い登校時 周囲との関わりが心配だった
付き添い登校する際の心配事として、周囲の子供達とどのように関わるべきかという課題がありました。
これは、小学校の支援級で付き添い登校した一時期、「なぜ、お母さんが付き添いしているの?」としつこく質問してくる生徒が数名いて困っていたため同様の状況になるのでは、という不安があったからです。このあたりの状況については、以下の記事をご覧ください。
→支援級が合わないので転校したけど再び後悔。2校目で学んだことは?
ですが、中学校では全く心配不要でした。確かに、実際に聞いてきた生徒もいたけど、その時点で先生のチェックが入り、

学校は授業をしに来るところです。●●さんのお母さんは必要があって来ているので、余計な質問はしません!
ピシャリと言われて質問タイム終了となっていたからです。(先生の発言のおかげで、生徒と部外者である私の間に一線引かれる感じです。)
まあ、娘の特性は色々あるので、自己紹介タイムの時に感覚過敏や母子分離不安を「超恥ずかしがり屋」などと丸めた表現で説明してくれていましたが。そして、気になって声を掛けてくる子もいたけど、サラッと流すと納得してくれるケースばかりだったので、やはり小学生と中学生では違うんだなあと感じたものです。
支援級が娘に合わない理由が分かった
落ち着いた感じで空気を読める生徒が多いので『何とかなるだろう』と最初は安心していたのですが、そう上手くはいかず、徐々に娘の不安が強くなっていき、『これはマズイ!』と感じました。この理由は大きく分けて、以下のように精神面と学習面の2つの側面がありました。
・学習面→授業内容が合わない(自分の理想とかけ離れている現実を知る)
まずは精神面についてお話しします。
支援級なのに「皆と一緒にできない」辛さがある
娘の場合、以下の2つの特性があります。
・感覚過敏で苦手な場所や物事が多い
このため、先生方のサポートが必要な場面が非常に多いのです。でも、サポートされると集団の中で悪目立ちするし、そこで目立つと「恥ずかしい」「子供っぽく思われるから嫌」などの複雑な心境に陥るのです。
そして、「そこまで恥ずかしい思いをしてまで、やりたくない」という気持ちになってしまったのです。
特に知的障害学級ではクラス全体でまとまって授業したり行動することが多いのですが、そこで皆と同じように出来ないことが多いので、色んなことが嫌になってしまったようです。
通常級だとついていけないから知的障害学級を選んだのに、集団行動苦手や感覚過敏が強い要素な娘にとっては、そのクラスでも皆と一緒に出来ないという苦しみを味わうことになってしまうのです。
じゃあ、支援学校なら皆と一緒にできるのではないか、と思うかもしれませんよね。でも、娘の特性だと、支援学校でも集団行動においては皆と一緒にできずに浮いてしまう可能性が高いのです。
授業内容が合わない
支援級では個別指導計画に基づいて授業をするのが基本スタンスですが、実際には先生1人で最大8名対応する必要があるし、国語や数学など少人数授業を行う場合でも1人で4人程度の生徒を教えます。
ですので、完全な個別対応はできないし、じゃあ一部だけでも個別対応、といっても、中学校レベルの数学や国語を教える気はありません。(もし、そういう中学があったら教えてほしいくらいです。)
もちろん、娘は小学校をほぼ不登校で過ごして勉強をやっていなかったので、中学入学時点では年齢相当の勉強ができませんでした。でも、不登校を脱するきっかけが「通常級の生徒達や先生方への憧れ」だったので、娘の興味は常に「通常級での学び」だったのです。
なので、中学入学後はよく、こんなことを言っていました。

通常級ってどんな勉強しているの?私もできるようになるかなあ?
なので、実際に支援級で授業を受けているうちに、

今やっている授業って、意味ないじゃん・・・。
私、ココにいても■■先生※みたいな素敵な女性になれないの!?
という気持ちになっていったのです。(※は娘の良き支援者で某教育機関の所長さんです。)
★娘がガッカリした授業内容については以下の記事で詳しくご紹介しております。
→知的障害学級の授業は?中学支援級の内容に驚愕!娘が不登校になった理由
さいごに
娘の通った中学では、3年間の途中で不登校になる生徒も毎年数名いるようです。ちなみに、先生方は誠実に対応してくださっていたので、先生方の質に問題があるということではないと思います。
娘の1学年上の生徒も1人、2年生の途中から不登校になりそのまま卒業しました(その他2人は最初からずっと不登校)。
また、娘と同級生も1人、2年生になってから完全に不登校になってしまいました(その他1人は最初からずっと不登校)。
先生に少し話を聞いたところ、2年生になる頃いろいろ悩む生徒が多く、全員が何かしらの問題を抱えて中だるみになったり、不調で通学が困難になるケースが多いとのことでした。そして、娘も2年生の秋の時点で、やはり学校に通うのは難しいという結論になりました。
情緒障害学級と知的障害学級の判定基準は、授業内容が違うのでWISCによる線引きが大きいです。そして、どちらの学級も個別指導計画に基づき支援してもらえる建前ではあるものの、完全に個別対応してもらうのは困難だし、学校の指導計画の枠で順応できることが重要なのですよね。
ですので、ウチの娘のような、特に集団行動が苦手な場合はスピンアウトしてしまうのも仕方ないのかなあ、と感じてます。不登校を推奨するわけではありませんが、支援級で特に知的障害学級の場合は「支援学校進学」を既定路線としている学校が多いので、そこに子供自身の興味関心が伴わない以上、無理なんですよね。
ウチの娘の場合、中学校に通いたいと思って不登校をやめて知的障害学級に入り、結果は再度の不登校。世間一般の目から見れば、

不登校が癖になっているんじゃない?
と思われるかもしれません。
でも、私としては、中学校の支援級に通うことで型にはまる教育は娘に合わないことが分かり、良かったと思っています。そして、娘にとっての中学校生活は、「もっと勉強を頑張ろう」という意欲が出たのと、今まで漠然としていた「こういう学校や先生のもとで学びたい」という具体的なイメージが出来た場でした。
発達障害児はどこでどのような成長曲線になるのか分かりません。でも、良い指導者がいて、意欲があれば新しい知識を吸収できるはずです。
ですので、「中学が支援級だから支援学校しか道がない」と諦めず悲観せず、どちらの学級に入ったとしても、子供と一緒に考えて将来を模索することが大切だと感じてます。子供が何に興味を持ち、どんなことをやりたいのか、どうやったら学べるのかを是非一緒に考えていってください。
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