
不登校しているけど、保健室登校ならできるかも!
・・・と思った場合、その選択肢は可能でしょうか。
学校には通いたいと思っても教室に入るのが怖い場合、別室登校したいと考えますよね。
我が家では、娘が小学生の時に保健室登校を拒否された学校と、対応してくれた学校の両方を体験しました。
今回は、我が家で経験した学校側の対応の理由や娘の変化についてお伝えします。
★娘は小学校の時に学校に馴染めず、合計3校に通っています。詳しいことは、以下の記事をご覧ください。
→支援級の小学校生活ってどうなの?支援級判定でも普通級に行けるの?
不登校で保健室登校は出来るの?
不登校だけど学校へ行く意欲がある場合、学校によっては保健室登校や別室登校、放課後登校などの方法を認めてくれるところもあります。ただ、学校の先生方の人数配置や場所的な問題などもあるし、不登校に対する考え方も異なるので断られるケースもあります。
我が家でも、2校目で不登校をした際に、学校に保健室登校の相談をしたのですが、駄目と言われてしまいました。
2校目で駄目と言われた理由としては、
・養護教諭が不登校の生徒の面倒をみる余裕がない
・保健室に来られても困る
こんな理由がありました。学校によって異なるでしょうけど、この小学校では病気の子供の近くにいると移ってしまう可能性も考え、保健室は体調不良の生徒限定としていたようです。まあ、今年のようにコロナウイルス対策をする必要があると、他の学校も同じなんだろうなとは思いますが。
で、娘はこれを相談した時点ではまだ学校に通いたいという気持ちもあったので、
「では、別室登校とか放課後登校とかはどうでしょうか?」
と相談したのですが、

別室登校させるほど部屋がありませんし、
登校されても、他に対応できる教員がいませんし、
放課後登校されても、教員が対応できません。
とお断りされてしまいましたorz
そして、その後は校長先生と相談して、時々校長先生の部屋に登校するという形になり、週2回1時間程度、親子で訪問することになりました。まあ、校長先生が対応してくれたので、良心的だったとは思います。
ただ、1ヶ月程度は続いたものの、最終的には娘の特性が強く出てしまい、「通うのはやっぱり嫌だ」と言われて終了しました。
別室登校が終了した理由
娘が別室登校を嫌だと言って終了したのは、嗅覚過敏の特性が原因でした。その他、視覚的な部分でも過敏さが影響したようですが。
校長先生は優しい方で、行き場の無い娘のために校長室で対応してくれていました。ですが、60歳近い白髪の先生であり、年齢的に加齢臭が若干出ていたのです・・・。
近づかなければ大丈夫かと考えていたのですが、ニオイに敏感な娘にとっては、さほど近寄らなくても気になっていたようです。校長室登校が慣れるにつれ、「校長先生のニオイが~」と言い出したのです。
そして、それ以外にも、校長室には洗面台(ごく普通の家庭にあるが幅60cmの2ハンドル水栓タイプの洗面台です)があるのですが、そこに緑青(古い水道管なので銅製で、その錆びみたいなものが付着する)がぎっしりと張り付いて、それとは別に鉄の茶色い錆びもあり、その状態を見るのがすごく嫌だったのです。
ちなみに、娘はそれ以前からも、学校の流し台に対する嫌悪感がありました。なぜかというと、
・排水口の付着物が汚い
・ニオイが強烈で耐えられない(流し台の湿気と固形「牛乳石鹸」の香料の相乗効果で臭さ倍増)
こんな理由があったからだそうです。
ですので、1校目の小学校の時から流し台の前を通るのを嫌がっていましたが、2校目以降中学校までずっと、学校の廊下で流し台を通るのをすごく嫌がり、そこは端を歩いたり、素早く避けていくなどの行動で対処していました。
また、今は高校進学に向けて複数の学校を見学しに行っていますが、流し台が存在する学校は嫌だと言ってます。ですので、一般的な建物である公立高校はまず除外ということになり、「流し台のない、小規模の私立高校のみ」で探しているところですorz
良かれと思って校長先生は対応してくれたのに・・・という気持ちもありましたが、娘のような過敏が強い場合は本当に環境を選ばないと駄目なんだなあと強く感じたものです。
保健室登校対応が駄目だった本当の理由とは?
2校目ではこんな結末になったのですが、実は、最初に保健室登校をしたいと学校に相談した際に断られたのは、大きな理由があったんですよね。
それは、娘が支援級在籍だったからです。
この小学校だけでなく、この自治体(市)全体のルールらしいのですが、
支援級在籍の場合には、不登校になった際には行き場所が無い
という結論になってしまっていたのです。
最初に不登校になった際に教育委員会に相談した時に言われたのですが、

不登校の場合、教育相談などに応じるのは通常級の子供だけです。
支援級の場合には、支援級の先生方と相談してもらう以外の方法はありません。
という話だったのです。
それを聞いて愕然としました。そして、こういう市を選んだのもすごく後悔しました。
不登校の場合、この市では不登校生徒のために、週3回くらい複数の施設を居場所として開放し、対応するための職員を常駐させています。でも、これは支援級在籍だった場合には使えないのです。この件についても教育委員会に相談したのですが、

支援級の場合には、支援級で手厚い支援をしているので、そのような制度は不要ですから。
とのことでした。
「いや、支援級だけど、そこが合わないので不登校になっているのですけど・・・」と相談したのですが、全く相手にしてもらえなかったのです。ですので、冒頭に戻るのですが、学校に相談するしかなく、最終的に校長先生が別室登校を受け入れてくれたという形になったのでした。
通常級在籍なら不登校になっても様々な選択肢があったのかもしれませんが、娘のように支援級で不登校になった場合には逃げ道が少ないのだと痛感した出来事でした。(このような対応は、自治体によって全く異なると思います。)
保健室登校対応してくれた小学校の場合
このように、不登校や保健室登校に対してすごく難しさを感じていたので、正直言って、学校には何も期待できないだろうという諦めが生じていました。
ですので、この後は小学校への登校を諦め、フリースクールに通わせようという選択肢を考えることになったのです。
★フリースクールについてはこちらの記事をご覧ください。
→不登校で勉強遅れを取り戻すには?フリースクールに小学生が通った結果
ですが、再度引っ越しをしたにも関わらず、フリースクールは2ヶ月で頓挫しました。ここまでは完全な失敗続きでお先真っ暗状態だったのですが、この時に在籍だけしていた3校目の先生から「ウチの学校にいらっしゃい!」と言われたのをきっかけに、保健室登校や別室登校を始めることになり、明るい前途が開かれたのです。
これは、すごく運が良かったのですが、
・不登校対策に力を入れていた(=支援級がない学校だけど、不登校枠で歓迎された)
・不登校の生徒向けに教室や職員を用意できた(=個別対応が当然、という流れだった)
こんな状況でした。
もちろん、職員は常時ということではなく、その時間帯に手の空いている先生が対応してくれるという形でしたし、教室も、保健室よりもカウンセリングルームやミーティングルームのような場所でその時空いているところを使用する、という形で臨機応変に対応してくれました。
でも、娘の場合には様々な過敏があったことから、それを考慮してくれ、対応する先生は初回必ず養護教諭が紹介してくれ、それで問題なさそうならその次に会う日に対応してくれる、という「事前予告」をしてくれたのです。
しかも、娘は相性が非常に難しいというのに、対応してくれる先生方で「この先生は苦手」というのは一人もいませんでした。
まあ、この小学校に通うようになって気づいたのですが、すごく温かい雰囲気の小学校で、どの先生も娘と私が学校へ行くと「よく来てくれたね!」と心から歓迎してくれるので、娘もそんな学校に行くのがすごく気に入っていたようです。
なので、どの先生に対しても不安という気持ちには一度もならなかったのです。
保健室登校や別室登校対応の様子
娘の場合には、過敏さを理解してくれたおかげで個別対応がほとんどでした。個別対応なので週2回、2~3時間程度しかできませんでしたが、それでも、授業としての時間を1人の先生が割いてくれ、一緒に給食を食べたりしてとても楽しい時間でしたし、娘にとって

学校って楽しいんだね!先生がみんな優しくて大好き!
という気持ちの芽生えた、貴重な経験になりました。
個別対応から集団授業への参加
また、個別対応が難しい場合は、通常級の授業を体験する機会も数回設けてくれました。勉強レベルが追いついていないので、参加できぞうな図工の授業だけでしたが。
娘は絵を描いたりするのが好きなので、通常級の子供達のパワーに圧倒されていたけど、子供達はあまり珍しい存在である娘のことを気にせず授業を受けてくれていたし、先生も全体をみながら娘のことも上手にサポートしにいくてくれたので、すごい良い授業体験でした。
(この時も、別の先生が時々娘の様子を見に来てくれて、授業がきちんと受けられているかを見守ってくれていました。)
他の生徒の事例
ちなみに、この小学校では他にも別室登校の生徒が数名いましたが、娘のような過敏がない生徒の場合は、別室で普通に勉強をしていたようです。
あと、この小学校ですごく恵まれていたのは、近くに教育系の大学があり、そこの大学生が数名勉強を教えに来てくれていたのです。(そこまで突っ込んだ話はしていないので、ボランティアか有料かは不明です。)
ですので、その子供達は皆、年齢の近い大学生に懐いていたようだし、毎日学校に通うのがとても楽しそうな様子に見えました。
これらの子供達とは給食の際に、職員室へ取りに行くため多少の接点がありましたが、その時の様子を見ると、傍から見ると楽しそうな様子で気さくに先生方と雑談しているし、職員室に出入りしている通常級の生徒とも普通に話すような感じでした。
このような子供がなぜ別室登校に?とも感じたのですが、分け隔てなく先生方が接しているし、子供もそういう雰囲気を感じているのか伸び伸びと登校している様子を見て、すごく良い環境なんだなあ、と感じたものです。
別室登校による娘の変化
娘の場合、あまり大学生とは馴染めなかったのですが、その代わりに、スクールカウンセラーとは何回も話をしたり、一緒に給食を食べたりしました。この小学校では、カウンセラーが週3日常駐で、日替わりだったので3人の先生と様々な話をしたり、進路の相談をしたりして、娘だけでなく私もすごく先生方への信頼を深めることができました。
この小学校では、支援級がないので娘は通常級所属となっていました。ただ、現実的にはクラスに入るのが不安だったので「お母さん付き添いでも大丈夫」と言われたけど、勉強面の遅れで授業が分からないし、ほとんど行けませんでした。
ですが、クラスの子供達は娘のことを気にしてくれていました。しかも、精神的に周囲を気遣う余裕がある子供が多かったのが幸いしました。押しつけがましくなく、踏み込もうとせず、言葉を掛けるタイミングを自然に見計らうことができるタイプが多かったんですよね。
最終学年では、文化祭や宿泊学習、社会科見学などの行事にも参加させてもらい、卒業式間近には、通常級の一部の子供達と一緒に給食を食べる機会も作ってくれ、すごく楽しく過ごすことができました。
一緒に食べた時、娘は今まで同世代の子供と話したことが殆どないし、何を話せば良いのか分からないのでほぼ無言でしたが、担任の先生や子供達がすごい自然に話を振ってくれて、様々な話題で1時間楽しむことができたのです。
さいごに
保健室登校や別室登校は、学校によって全く対応が異なります。娘の場合、2つの小学校で対応が全然異なりました。
保健室登校を提案してくれた小学校では、カウンセラーやその他の教員まで総出で娘のことを歓迎してくれたことから、娘が学校という場に対して前向きに考えられるようになり、先生方や同級生のことを好きになりました。そして、これが「中学校になったら登校してみよう」という意欲に繋がっていきました。
こういう条件の揃った学校は非常に珍しいかもしれません。ですが、先生方の対応が好意的な場合には保健室登校や別室登校によって子供の気持ちに変化をもたらす可能性もあるので、もし登校渋りや不登校などの傾向がある場合でも、お子さんが少しでも「学校に行こうかな」という気持ちがあれば、学校に相談してみると良いかもしれません。
我が家の経験をお話ししましたが、何か参考になれば幸いです。
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