中学の支援級で情緒障害と知的障害クラスの違いは何があるのでしょうか。
発達障害児だと、中学進学時にこの選択ですごく悩みますよね。
我が家でも娘が自閉症スペクトラムなので非常に悩み、結果的に知的障害学級になりましたが、本当は情緒障害学級に通わせたい気持ちが強くありました。なぜかというと、調べれば調べるほど、情緒障害学級と知的障害学級の違いがすごく大きいことが分かったからです。
今回は、情緒障害学級と知的障害学級の様々な違いや、実際に見学した2校の情緒障害学級について、グレーゾーンの親目線でお話しします。
支援級で情緒と知的障害の違いは?
情緒障害学級と知的障害学級の2つは支援を受けるという点では共通ですが、以下の2項目に大きな違いがあります。
(2)授業内容
では、1つずつ細かく確認していきましょう。
知的発達の遅れがないかどうか
情緒障害学級と知的障害学級の両方とも、以下のような特性の生徒が在籍しています。
・社会生活への適応が困難
ただし、情緒障害の場合は、これらの要因が、知的発達遅れがない自閉症や選択性緘黙などの心理的なものによることとなっているのが大きな特徴です。
また、知的障害学級の場合は上記の他に、日常生活上で一部援助が必要などの要素もあります。
この「知的発達の遅れ」は就学時判定ではWISCの結果なども含めて行うのですが、現実問題としては、
・中学校で通常級と同じ勉強をすることができるか
というのが基準になっているようです。少なくとも、我が家の就学相談の2自治体ではこの2点について担当者から厳しく訊かれましたし、WISCの低い数値についても突っ込まれ、

それじゃあ、情緒障害学級は無理かも・・・。
と感じましたし、案の定、面接の際に「情緒障害学級は無理」と言われましたorz
授業内容
情緒障害学級では、通常級と同じ授業内容が基本です。ただし、場合によっては基礎重視して下の学年の内容に替えるなど柔軟な指導を行うこともあります。
知的障害学級では、下の学年や、支援学校の授業内容に替えることが可能です。また、学習上または生活上の困難を改善克服目的で「自立活動の指導」を行ったり「各教科を合わせた授業」ができる等が知的障害学級の大きな特徴です。
娘が通った中学の支援級の先生方はよく、

支援級では勉強ができることよりも、自分のことをきちんと出来ることの方が重要です。毎日支援級の課題を積み重ねていくことが、将来の『就労と自立』に繋がります。
こんなことを言っていました。
ということで、知的障害学級の授業は完全に通常級とは切り離された別世界の内容になっています。そして、支援級の概念からすれば「個別支援計画に基づいて1人1人別の内容」であってほしいのですが、現実的には「支援級の平均的なレベルであろう学習内容を、クラス全体または少人数編成のクラスで行う」というのが実情でしょう。(この部分については、学校や先生方の特別支援教育に対する考え方の違いが如実に表れます。)
一方、情緒障害学級の場合、通常級と同じ授業をクラス単独で行う学校もあれば、通常級に行って授業を受ける学校もあります。(ただし、クラス単独で行う学校は多くないと聞いています。)これは学校の考え方や予算なども大きく影響してくる部分なので、情緒障害学級を希望する場合はこの部分をしっかり事前に確認しておく方が良いです。
ただ、情緒障害学級は通常級と同じ授業内容なので結構大変なのか、というと、傍から見る限りでは、学習面でついていけるようならその他は色々支援してもらえている、という雰囲気がありました。
娘の通っていた中学の情緒障害学級の生徒は毎朝遅刻して、介助員が通学路の途中まで迎えに行っていたこともあるし、水泳の授業は知的障害学級と同じようにクラス単独で行っており、泳ぎの苦手な生徒の割合も多く、介助員が多く入って3対1くらいの人数で指導していました。
(私は娘が知的障害学級クラスにいて、付き添い登校していた関係で情緒障害学級の授業は重なる場合だけ見学できただけであり、実際の細かい部分は分かりませんし、中学校によって生徒の質なども異なるので、あくまでも一例としてご覧ください。)
★知的障害学級の具体的な授業内容は以下の記事をご覧ください。
→知的障害学級の授業は?中学支援級の内容に驚愕!娘が不登校になった理由
★娘が実際に知的障害学級に入学して感じた問題点等は以下の記事をご覧ください。
→知的障害学級でグレーゾーンに付き添い登校は疲れただけ?得たことは?
情緒障害学級の実例2校
支援級の実際のやり方は自治体によって異なるのですが、特に情緒障害学級のやり方は自治体によって様々なようです。ここでは我が家で実際に入学した中学と、引越し前に判定を受けた自治体についてお話しします。
引越し前の自治体(東京都・X市)
引越し前の自治体の情緒障害学級は(私にとって)すごく理想的で、全ての授業を情緒障害学級で行う方式でした。通常級にも所属するけど交流はあまり多くなく、特に主要5科目について少人数の支援級で通常級と同レベルの授業を行うのです。
このやり方だと、集団が苦手な子供の場合は少人数クラスでの授業が非常に有難いし、しかも、通常級と同レベルなので高校進学時の内申点をもらえるし受験する力もつきます。ですので、放課後の塾通いを熱心にやらなくても良さそうなんですよね。
ただし、既にお話ししたように、「実際に学校の勉強に追いついていけるか」が重要視されるので、我が家のような不登校で勉強遅れが酷い場合は情緒障害学級は無理という判定になってしまうのですよねorz
(我が家では夫の転勤予定があり、それに合わせて転勤先自治体へ引越し予定でしたが、もしこの自治体で情緒障害学級に入れるなら娘と2人で居残りすることを検討していました。ですが、あえなく撃沈したため、当初の予定通り家族で引越しました。)
引越し後の自治体(東京都・Y市)
引越し後の自治体の情緒支援学級は、支援級での授業もあるけど、交流級に行って授業を受けるスタイルが多いです。
ただ、状況によっては支援級での授業も頻繁に行うようです。体育の水泳の授業はクラス単独でしたし、介助員も含めて情緒障害学級全ての先生と介助員が参加して、丁寧に生徒の指導にあたっていました。
知的障害学級の生徒はそのクラス単独での行動が多いのですが、情緒障害学級の生徒は通常級との交流が非常に多く、運動会などの行事は所属する交流級としての参加でした。
引越し前のX市のような、通常級と同レベルの授業を全て支援級で行うというのは理想的だと思うのですが、先生方の人数としてもかなり難しいのではないかと感じます。このY市のような、支援級での授業と交流授業を組み合わせていく形式が比較的多いのではないか、と思われます。
さいごに
中学の支援級で情緒障害と知的障害だと授業内容の部分でかなり差が生じてしまいます。
自治体によって考え方が異なりますが、知的障害学級になると支援学校高等部に進学するのが当然というコースになるし、実際の授業内容も通常級の範囲からかけ離れた内容になるケースが多いです。
そのため、中学進学の際には高校進学のことまで視野に入れつつ選ぶのが良いでしょう。
★知的障害学級の授業内容についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
→知的障害学級の授業は?中学支援級の内容に驚愕!娘が不登校になった理由
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