ウチの娘は支援級の小学校で2回不登校になりました。最初は2年生の秋で、次が5年生になった時です。
最初は、学区の小学校だったし入学するのが当然だと疑いもせず信用したところ、娘のことを全然理解してくれなかったんですよね。特別支援教育は学校や先生によって対応してくれる次元が全く異なることが分かった出来事でした。
ですので、次はそうならないよう学校をよく見て判断しようと思ったのですが、転校後2年余りしか続かず、またまた後悔しました。娘の特性ではその支援級にも馴染めなかったのです。
今回は、なぜ2校目の支援級の方針や授業にも合わなかったのか等をお話しします。
★1校目で不登校になった経緯については、こちらの記事をご覧ください。
→支援級の後悔。小学校で味わった、皆と同じことができない苦しみとは
支援級が合わない原因 転校先の場合
転校先でも支援級が合わなかった原因で一番大きいのは、「感覚過敏」が強すぎたことだと考えてます。単に五感が敏感過ぎるだけならまだ対処のしようがあるのですが、娘の場合は集団生活への適応が困難という問題が生じていたのです。
小学校低学年の頃にお世話になっていた作業療法士には、触覚防衛反応が強く出ている子供は集団生活が難しいなどの症状が出てしまう、と言われていて、それを解消するためのトレーニング方法を教わって日々家で取り組んでいました。
でも、こういうトレーニングは即効性がないし、娘の場合は感覚過敏が触覚以外に、聴覚、嗅覚過敏もあるので常に学校生活上で様々な刺激を感じてしまうのです。
転校先の小学校の支援級は情緒と知的障害合わせて十数名と比較的多く、様々な特性の生徒がいました。娘はその中で、ちょっと大声出す生徒がいると驚くし、発散したい元気な男の子が教室内でボール遊びをするとボールが飛んでくるのではないかと怯えていました。
また、転校生という存在がクラスで珍しいのか、知的障害の子供達には妙に気にされてしまい、何かあると「ねえねえ!」と無造作に話しかけられたりベタベタ触られそうになり逃げていました。
触覚過敏があると、自分から興味のある物を触りにいくのは平気ですが、逆に、誰かが自分に触るというのはほぼ100%駄目なのです。ですので、このような不安要素がすごく多い状況だと教室内で気が休まらないのですよね。
このあたりのことを事前予測できれば良かったのですが、全く想定していなかったのです。理由としては、以下のようなことがあります。
・触覚過敏がここまで酷いまま2年間も改善できないとは想像できなかった。
・大人の目からはさほど酷い状況とは思えなかった(ちょっと気になるレベル。ただし、娘にとっては過剰な刺激だった。)
・先生に配慮をお願いすれば問題にならない程度だと想像していた。(先生方は注意していたけど、知的障害の場合には何度も繰り返す。)
親として、娘の特性に対して考えが甘すぎたようですorz
支援級の転校 不登校時に注意すべきことは?
支援級の転校だけではありませんが、不登校になった場合は、転校先を考えるのも1つの案ではありますが、それよりも焦らずに心身を整えることの方が先決と、今は感じてます。でも、その当時は焦っていて、十分に検討する余裕がありませんでした。
また、支援級の場合は環境が大きく左右しますが、全てが満足する環境はありません。そのため、優先事項を考える必要があるのですが、親が消去法で考えても上手くいかないケースが多いです。新しい環境に行っても、新たな障害が出現する可能性があるし、消去法ってキリがないのですよね。
むしろ、子供自身がその学校に対して「安心できる」「楽しく過ごせる」と感じるかどうかが重要でしょう。(ただ、子供が不登校により心に傷を負った場合は、「安心」を感じるだけの力が弱まっているので判断が難しいのですよね。)
我が家では、娘が1校目の不登校で人間不信になり心を閉ざした状態からの出発だったため、そこまで感じるだけのキャパシティがなかった故に失敗した、と考えてます。
我が家が2校目選びで重視したこと
娘は1校目の小学校で上手くいかずに不登校になったのですが、特別支援の方針や先生の対応が合わなかったので、2校目では方針や対応がどうなっているかをきちんと聞いたり先生方の様子を見た上で転校を決めました。
でも、2校目でもやはり合わなかったんですよね。
確かに、特別支援の方針や先生の対応は重要なので、子供に理解のある学校や先生を選ぶのは重要です。(我が家が消去法で選んだのがこの部分でした。)ですが、不登校になった原因は1つだけではありません。
2校目ではクラス環境が落ち着けなくて不安が増してしまったのですが、もっと根っこの部分で安心感が得られていれば、多少のサポートをすれば不安を減らすことが可能ではなかっただろうか、と今は思うのです。
1校目の不登校による焦り
1校目で不登校になった際、1校目の先生方からも「不登校はいけないことだ」と言われてしまっていたし、学校を休んで家にいる状態だと近所の目が五月蠅い地域だったので精神的に辛い状況でした。また、その当時お世話になっていた作業療法士にも、
「不登校は一度なると癖がつくので、転校先が見つかったら早めにそちらに通って慣れる方が良いだろう」
とアドバイスを受けていました。
ということで、早く転校先を決めてしまいたかった、という焦りがありました。
実際に転校した結果
転校当初は先生の対応が上手かったことから、『これならスムーズに通えるようになるかもしれない』と期待していましたが、その先生が退職して、更に月日が経つにつれて娘の不安感が増えていきました。
やはり、子供が心を閉ざしたような状態のまま転校しようとしても難しいと感じました。
じゃあ、どうすれば良かったのか、というのはタラレバなので正解が分かりませんが、どちらかというと、不登校状態で親子共々楽しく過ごせるところまで心身回復してから学校選びをする方が良かったのではないかと今は考えています。
今は、文科省でも不登校を認めるような動きになっていますが、数年前は不登校はしてはいけないことで、登校を促すべきという考え方でした。そのため、学校も私達保護者も、子供の気持ちを考えずに、それが当然という思考になっていたんですよね。ですので、不登校への罪悪感や焦りが相当あり、「楽しく過ごせるまで回復してからの学校選び」というのは今考えても無理だったと感じてます。
支援級の後悔 授業の誤算
2校目のやはり支援級も合わなかったとはいえ、先生方としては出来る限りの対応をしてくれていました。
ただ、クラスの子供達との関係以外にも、以下のような誤算がありました。
・学校方針上、学年相当の勉強をするなら交流授業に参加する必要がある
・娘が交流授業に参加できない状態がずっと続いてしまった
・支援級だけの勉強だと、勉強遅れ必須になるけど、状況的に仕方なかった
・支援級しか見ていない娘にとっては、学校は勉強せずボーッと過ごして良い場所という認識になってしまった
転校先で何とかしたかったのが、
・クラスに馴染んでいけるようにして(社会性)、
・勉強へのやる気を回復して遅れを取り戻す(勉強遅れ回復)
こんな問題点の解消だったのですが、1つ進まないと全部がストップするという事態になってしまったのです。
次に担任になった先生も2年間丁寧に対応してくれたし、娘もその先生のことは信頼していましたが、交流授業のことや、通常級の子供達との交流の機会を持つのは現状では難しく、娘が成長するのを待つしかないという話をされました。
なので、娘が成長してくれない以上、何もできないという結果になりました。だからこそ、勉強遅れが回復できずにどうしたものかと悩み、個別指導塾に通わせることを考えたのです。
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では、この小学校の支援級ではどのような授業を行っていたのでしょうか。次に、具体的な勉強のことをお話しします。
支援級の勉強 授業内容
この小学校の支援級の勉強で特徴的なことは以下のようなことです。
(1)交流授業でのサポートがないこと
1年生の場合には先生方が教室に行く際や、授業の一部を介助するケースもありますが、基本的には交流授業には一人で行けることが原則なので、一人で行けない場合には支援級で過ごすことになります。
ということで、このルールが(2)以降の勉強に反映されます。
(2)国語と算数
国語と算数は勉強遅れになる傾向が強い教科であることから、支援級で授業を受ける生徒が多いです。ただし、支援級では各自が一人で出来るプリント課題中心なので、新しい範囲を学ぶ機会がなくなります。
これが娘にとっては大きなデメリットになりました。新しい範囲を学びたい場合は交流授業に参加する必要があるのです。
(3)その他の授業
その他の教科は勉強遅れになることが少ないため、交流授業を受けに行く生徒が多いです。でも、娘は交流授業に参加できなかったので、理科や社会などの教科は全てやっていません。
(4)体育
交流授業の体育の授業についていける生徒は交流授業に参加しますが、支援級の生徒の多くは体力が劣るので体育は支援級で行うケースが多いです。
また、支援級では「将来の就労のためには体力作りが重要」と考える小学校が多いようです。この小学校でも走ることで体力をつけよう、という考え方でした。毎日1時間目は体育の授業になっており、
というメニューが出来ていました。
この小学校は狭いグラウンドなので1周100mのトラックでしたが、元気な生徒は5分で10周以上走っていました。
この小学校に転校する際に、
「ウチの娘は体力ないので1kmなんて走れません・・・」
と言ったところ、
「皆さんそうおっしゃいますが、毎日続けていると自然に1kmくらい走れるようになるんですよね」
と言われて、心配しないでください、という感じでした。
それを聞いて「それは良いプログラムだなあ」と楽観的に考えていたのですが、転校後の娘の様子を見ていると、1周目の途中で辛くなり、トボトボ歩き始めるのです。
5分間で少なくとも7~8周はいけるだろうと思っていたけど、毎回4周(400m)と自分で決めてしまい、5分間かけてゆっくり歩いて400mという結果でした。それも、2年間ずっと同じで・・・orz
「自分には走れない」「疲れるから嫌だ」「走ると息が切れて呼吸できないのが苦しい」という気持ちが強く、一度そういう経験をしてしまうとすぐに防御に入ってしまう癖がついてしまったのです。(この辺については娘の特性の1つのようです。数年経過した現在も進行形の課題ですが、娘の場合には、こういう先読みによる諦め課題が沢山あります。)
(5)支援級のイベント
支援級では毎月誕生日会があり、簡単にできる調理を行って皆で一緒に食べたり、その月に誕生日を迎える子供のリクエストで、好きなゲームをしたり、という楽しみがあります。
多くの生徒はこういうイベントが楽しみだし、娘にとっても少人数でのイベントなら楽しめるだろうと想像していました。実際に、調理はホットプレートなどを使う簡単なメニューだし、作ることが好きな娘には楽しめる内容だったようです。
ただ、ゲームについては、勝負事が苦手でほぼ100%参加を拒否するため、先生方の対応が難しかったようです。皆が楽しんでいるのを見学するか、先生のお手伝いをするなど役割を得られることもあったようですが。
支援級独自の考え方
この小学校の支援級では、勉強に集中する時間を20分間と限定するという考え方で授業を行っていました。
という考え方です。
では、実際にどんな授業内容というと、ある日の算数の授業は、
次の20分間 ・・・個別の机に行き、それぞれのプリント課題を行う。
残りの時間・・・ご褒美タイム。教室内で自由に遊んでOK。
ただ、これは「通常級のお友達には内緒ですよ!皆にズルイと思われるから。」という話になっていました。
実際、皆の様子を見ると、かなり集中してやっていたので、こういうやり方も良いなあとも思いました。
とはいえ、娘の場合には、プリント課題も線つなぎ程度の問題しか与えられず(やる気がなかったので仕方ない)、2年間同じようなことだけして終わってしまったので、親としては勉強遅れの悩みが終始ついてまわっていました。
また、支援級で勉強する同世代の子供達のプリントを見ると、簡単な問題ばかりだったので(でも娘はそれさえやらずに線つなぎだけでしたが)、「勉強ってこんな簡単な問題だけやってればいいんだな~」という誤学習がありました。
さらに、その簡単なプリントを20分間かけて、ゆっくり最後まで時間を使って解いて、時間ギリギリで提出するというやり方をしていたのです。
そして、残ったご褒美タイムは、折角自由に何をやっても良い時間だというのに、
・知的障害の子供にしつこく声をかけられるのが嫌
・賑やかな教室の声が耳に障る
このように、気になることが多数あったため、何もせずにパーテーションの中で閉じこもってボーッとして過ごすことが多かったようです。
さいごに
発達障害で支援が必要な子供の場合は支援級や特別支援学校を選ぶケースが多いけれども、そこに過敏の要素がある場合はすごく難しい選択になるというのを痛感しました。同じクラスの子供の特性によって、落ち着いて過ごせるかが変わってくるので、最初の時点で環境を選べるのであれば、選んであげた方が子供にとっては良いはずです。
ただ、現実問題として、見学する時点では良い環境であっても、実際に入ってみるとメンバーが変わって全く別環境ということもあるのでクラス環境問題は非常に難しいです。
また、当然ですが、先生方の人員は限られていており、1人1人個別指導が受けられる訳ではありません。特別支援学級の中ではその小学校における独自ルールがあり、それに沿った形でしか支援を受けることができません。我が家でもそれは十分理解して転校しましたし、娘もその中で学校生活をおくることには納得して通い始めました。
でも、2校目では、その独自ルール内で最大限の配慮をしてくれたと感じていますが、娘の特性や、その状況下での困り事に対して完全なミスマッチでした。
我が家の場合、小学校の選択肢としては支援級しか無かったけど、結果として1校目と2校目両方で不登校になってしまったので「支援級はコリゴリだ」と強く感じたものです。ですが、これだけ懲りたにも関わらず、中学入学時には再度支援級という選択肢になりました。
これについてはまた後日記事にしようと考えてます。
今回も長文の記事になりましたが、過敏を抱える子供にとっては、支援級で配慮をしてもらうことさえ、子供にとっては「配慮」という感覚にならずに不安を解消できないケースもあるので、支援級という選択肢しかない場合には「安心感を得られるかどうか」をしっかり見て、そういう支援が受けられるか相談していくのが良いと考えてます。
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