支援級の小学校生活って、どうなのでしょうか。
就学相談が支援級判定でも普通級に入学できるのでしょうか。
また、支援級入学後に、支援級から普通級へ移るのは可能でしょうか。
我が家では不登校になったことから小学校は合計3校に通う結果になりましたが、規模や対応など全てが異なりました。
今回は、我が家で経験した小学校の事例についてお話しします。
支援級の小学校生活ってどうなの?
特別支援学級といっても、学校によって全然やり方が異なります。
これは同じ学区であっても違うやり方のところが多いし、子供によってそのやり方が合うかどうかも全く異なるので、支援級の小学校が良いか悪いか、という話は一概に言えません。
ですが、我が家では3つの小学校に通っているので、それぞれどんな学校だったかをご紹介しますね。
1校目
人数:支援級は生徒が6学年で5人。教員2名、介助員2名。
方針:なるべく通常級で多くの時間を過ごして、クラスメイトと一緒に出来るよう指導する方針でした。(通常級に行くのが難しい場合は、必要に応じて先生か介助員が一部付き添う形もあり。)できない授業だけ取り出して支援級で個別指導をしていく方針。
入学当時は通常級に行く際に担任や介助員が付き添いしてくれていましたが、2学期以降は一人で行くようレベルアップしていき、そこで娘は不安感が出てきました。2年生になったら一人で何でもやるような方向へとますますレベルアップしていくのに、娘はついていけず、不安が増大していったようです。
★1校目の詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
→支援級の後悔。小学校で味わった、皆と同じことができない苦しみとは
2校目
人数:支援級は6学年で14~15名程度。教員3名。
方針:「1人で通常級に行ける場合は交流授業に参加する」という条件だったため、1人で教室に行くのが難しいウチの娘の場合は、ほぼ全ての授業を支援級で過ごす形になりました。
全校授業や支援級だけの行事の場合で状況を見て、「お母さんも来てください」と呼ばれて、一緒に授業に参加するということもありましたが、そういう機会がないと、娘は通常級に行くことが出来ませんでした。
細かいことを言うと、転校当時担任だったベテランの先生は「通常級の子供との交流も大事だし、早く慣れるためにも、時々その子たちと給食を食べる機会を作ります」と言ってくれて数回交流する機会がありました。
ですが、残念なことに、その先生は臨時採用で、年度契約切れにより僅か3ヶ月で退職したため、その計画が頓挫してしまいました。そして、その後の交流は全くできなくなってしまったのです。つくづく、学校は先生次第なんだなあ、と感じた出来事でした。
支援級の他の子供達を見てみると、重度の発達障害であっても、結構交流授業に参加していたので、娘のように心を閉ざした状態でなければこういう形の支援級でも大丈夫なのだろう、とは感じておりました。
ちなみに、この小学校の支援級の授業は「できることをやる」方針で、国語や算数を支援級で受ける場合、「すごく簡単なプリント2~3枚程度を20分間だけ集中して解く」という感じでした。なので、重度の発達障害でなければ、勉強は通常級の授業に参加した方が良いと先生に言われていました。
私も早く交流できるようになって欲しいなあ、と思っていたのですが、娘が心を全然開いてくれず、逆に慣れれば慣れるほど心を閉ざしていく様子でした。
★2校目の詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
→支援級が合わないので転校したけど再び後悔。2校目で学んだことは?
★この頃の勉強問題については、こちらの記事が同時期なのでよろしければご覧ください。
→発達障害で勉強しない子を個別指導塾パーソナルに通わせた結果は?
3校目
支援級なしの小学校だったため、通常級に在籍しました。この3校目についてはかなり特殊な例なので後で詳しくお話しします。
支援級判定でも普通級に行けるの?
「支援級か普通級か」の選択は、法律的には「保護者の判断」になります。
ですが、実際には、「支援級判定です」と言われたのに「そこを何とか普通級にお願いします」とは言いづらいのですよね。それまでの間に、支援級がどんな場所なのか、普通級との違いがどの程度なのか等をきちんと調べて、そうなった時の対処方法などを理解しているお母さんなら言えるのかもしれませんが。
我が家の場合はどう対処すれば良いのか分からなかったので、「教育委員会に言われたのだし、仕方ないか・・・。」という発想になりました。そして、家に持ち帰って夫に報告して「それは将来困るのではないか、なんとか普通級に入学できないのか?」とひと悶着ありました。実際問題、こういう展開になる家庭が多いのではないでしょうか。
子供の発達障害を受け入れられるか、という問題にも通じるのですが、父母の間には温度差があるんですよね。多くの家庭で「お父さん」というのは子供の発達障害を受け入れ難い傾向があり、「大きくなったら自然に普通の人になる(成長する)」と思っている節があるようです。
私自身の葛藤としては、「なぜウチの娘だけが支援級なの?」というのがまず湧いてきた気持ちでした。我が家では、幼稚園年長の時にグループ療育を受けていたのですが、その時のメンバーは全て普通級判定で、我が家だけが支援級判定だったのです。
でも、今振り返ると、あの時の私は本当に勉強不足でした。実際、ウチの娘は様々な過敏があり、通常級でやっていけるだけの心身が育っていなかったのです。成長した今も、やはり学校の通常級でサポートを受けずに過ごすというのが想像できませんし。
理屈としては、教育委員会の判定でなく、保護者の判断になるので「普通級でお願いします」という選択は可能ですが、普通級を選ぶ場合は「子供が実際に普通級で学校生活をおくることが可能か」がポイントになります。出来ないのが容易に想像出来るなら、普通級は無理なのです。そして、親はそこまで子供のことをしっかり把握すべきなんですよね。
我が家の場合は「発達障害で自閉度が高くて、しかも、感覚過敏で外部刺激に弱くて過剰反応する」というような特性があるので、今思うと「普通級は絶対無理」でしたが、当時はそれが分からず不満を抱えつつ教育委員会の指示に従う形になりました。それが分かったのは、小学校入学以降に様々な問題が生じた時でした。
最終的に我が家では、夫を説き伏せて支援級に入学するということにしました。実際に、就学相談の面接には夫も同行しており、娘が様々な場面で面談者を困らせたりしていたのを目の当たりにしていたので諦めたという感じでした。(我が家では、夫も私も、支援級だと高校入試の際に困るという思いがあり、なんとかして普通級に入学させたいという思いがあったのですが。)
支援級から普通級へ移るのは可能なの?
支援級から普通級へ移るのは「状況によっては」可能ですが、学校の方針によって異なるため、親がその希望がある場合には早い段階から担任に相談していく方が良いです。
1校目の場合
ウチの娘が通った1校目の小学校では、最初に支援級で入学しておき、4年生くらいから通常級に移るというパターンの子供が多いと言われました。(娘が入学した当時のことであり、今はどうなっているのか不明です。)
実際に、1校目では支援級在籍が1年から3年まで、しかも合計5名しかいないので不思議だったのですが、よく話を聞くと、多くの場合は4年か5年で普通級に移るから人数が少ないのだとか。
その学校では、中学校になると(内申の関係で)支援級よりも普通級にいた方が良い、という判断をする保護者が多いようでした。
2校目の場合
ですが、逆に、普通級から支援級に移るパターンもあります。
2校目の小学校では、通常級で落ち着きがなくてクラスに馴染めなかった子供が、高学年になり支援級に移ってくるというパターンが複数ある、という話でした。
ただ、どちらかというと、普通級から支援級に移ってくる子供を見ていると、通常級でもやっていけそうな体力があるとか、コミュニケーションも普通級の子供とほとんど変わらない感じだったりするんですよね。他のことは自分できちんとできるけど、勉強だけは苦手で通常級が無理になり、支援級に移ってくるというケースもあるようです。
支援級のない小学校で発達障害児が過ごせるの?
小学校入学時から支援級在籍の子供だと、よほどの理由がないと通常級しかない小学校への転校は厳しいです。
でも、3校目の小学校は、支援級がありませんでした。
我が家のような「オール支援級在籍」の場合、普通なら転校先の居住地の教育委員会に相談する段階で、「支援級のある小学校に転入すべき」と言われているはずです。ですが、我が家の場合、「フリースクールに通うので小学校は在籍するだけの扱いでお願いします」と教育委員会とその小学校へ打診していたので、問題なく許可されました。
とはいえ、フリースクールの場合には定期的に小学校へ様子を伝えに行ったりする必要があり、定期的に学校へ顔を出していました。この時には面倒だなと感じたものですが、これが元で、後に良い展開へと転じたのです。
というのも、以前別記事でお話ししましたが、フリースクールの先生との相性が悪くて2ヶ月間で駄目になってしまったからなのです。
★詳細はこちらの記事をご覧ください。
→不登校で勉強遅れを取り戻すには?フリースクールに小学生が通った結果
そして、小学校へ定期報告しに行った際、フリースクールが駄目になった話をしたところ、

それなら是非、ウチの小学校にいらっしゃい!
と特別支援コーディネーターの先生(養護教諭)が言ってくれたのです。ウチの娘も明るく優しい先生に心惹かれたらしく、その後は保健室登校やカウンセラー室登校という形で週1、2日程度学校に遊びに行くようになりました。しかも、この当時から母子分離不安のため母が常に付き添いする状態でしたが、

お母さんも一緒で大丈夫よ!
と当然のように言ってくれたので、気兼ねしないで堂々と親子で登校できるようになりました。そして、通常級の子供達とはほとんど接点なかったけど、宿泊学習にも参加できたし、その時にクラスの子供達と一緒に食事をする機会もあったし、卒業式では皆で写真撮影したりして楽しむことができたし。
最終的に、娘にとって非常に居心地の良い小学校でした。そして、付き添いする私にとっても、先生や生徒に遠慮せず付き添いしに行ける小学校として非常に有難い環境でした。
話を戻しますが、フリースクールが駄目になったことを教育委員会に報告した際には、隣学区の小学校には支援級があるので、その小学校を見学してみたらどうか、と提案されました。ただ、過去の不登校の際に、支援級に対して悪いイメージが出来てしまったため、それを伝え、小学校の対応を凄く気に入っている話をしたところ、学区の「支援級なし」の小学校でも問題ない、という話になったのです。
ただ、こういう展開は滅多にないのかもしれません。我が家はすごく幸運だったと感じてます。
実は、偶々引越しした先の学区の小学校は不登校支援に力を入れていて、学校側の対応がすごく丁寧だったし、教育委員会にも話が通じやすかったのですね。
さいごに
支援級は小学校によって規模、方針、先生方の対応が全然異なります。
また、地域によって通う小学校を選べるところもあるし、そうでない地域もあるのですが、選べる地域の場合には可能な限り様々な支援級を見学して、先生方に相談したり実際に体験して合いそうかどうかを考える方が良いです。
とはいっても、我が家では数回見学したり体験したりして(その当時は)熟考したけれど、残念なことに楽しく小学校生活をおくれるような支援級には巡りあえず、最終的には通常級しかない小学校を保健室登校状態で卒業することになりました。(この小学校が唯一、娘にとっての安らぎの場でした。)
そして、グレーゾーンの子供の場合、通常級と支援級のどちらが本当に良い選択肢なのかは誰にも分かりません。本人の特性だけでなく、環境など様々な要因に左右されるからです。
親としては通常級、支援級、支援学校という選択肢でサポートの有無だけでなく将来の進路を含めてすごく悩むのですが、子供は親の予想とは違う部分で躓いたり傷ついたりする可能性があります。ですので、外聞や将来などのことはいったん横に置いて、子供のことをよく見て、支援級だとどういうことが予想されるのかを考えてみてくださいね。
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