発達障害で同年代と遊べない場合、どうやったら社会性を育てることができるのでしょうか。
ウチの娘は幼稚園や小学校で友達が全くできませんでした。他人に興味がないし、誰かと話すことが恐怖だったのです。
こんな娘の社会性は当然ゼロ。だから、相手に娘の気持ちを伝える必要がある場合、私が娘の気持ちを推し量って相手に言う必要があったのです。
でも、こういう状態が続くと、社会性を育てることができるか非常に悩みますよね。
発達障害で同年代と遊べない場合はどうする?
同年代と遊べなくても、気にしなくて大丈夫です。
社会性を伸ばすというのは「友達を作ること」とか「集団生活ができること」や「学校に適応すること」ではありません。友達がいなくても、集団生活ができなくても、学校に適応できなくても社会性を伸ばすことは可能なのです。
そもそも、社会性って何のことでしょうか。
心理学などの学問上では「社会性」についてのきちんとした定義はないようですが、
・相手の言葉や気持ちを理解して受け止めること。
・空気を読むこと。
このような内容があるようです。
そして、「相手の気持ちを理解すべき」とよく言いますけど、人というのは自分の気持ちを受け止めてくれる人がいるから安心という土台が出来て、相手の気持ちを受け止めることができるのです。
だから、まずは、自分の気持ちを周囲に理解してもらうことが最初に必要であり、そのためにはどうしたら良いのか、を考えていく必要が出てくるのです。
友達作りというのはその延長線上にあります。安心できていない状態で無理に大勢の子供と交流させようとしても意味がないのですよね。
小学生 障害児とお世話係の交流での失敗
ウチの娘の場合、小学校の支援級の担任に
と言われました。そして、先生がクラスメイトの1人をお世話係として指名してお世話してもらったり、一緒に遊んだりしました。
でも、娘は「誰か」と一緒に遊ぶことは喜んだけど、お世話係の子に対して「友達になってもらって嬉しい」とか「その子が好き」という気持ちは持てなかったのです。
★詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
→発達障害の小学生に友達いないと心配?お世話係との交流での悲しい結末とは
もしかしたら、この話は
と思う人がいるかもしれません。
実は私も当時はそう感じていました。
でも、今振り返ってみると難しい問題だったと感じてます。
というのも、子供同士の「気が合うかどうか」はとても大切な要素だからです。その数年後にようやく娘の特性に気づいたのですが、娘の場合は他人に対する許容範囲が非常に狭く、気が合う、気を許せる人が限られているのです。
元々警戒心の強い性質もあるし、感覚過敏や人間不信が余計に拍車をかけてしまっているのですが、生まれてから16年間で気を許した人というのは大人で十数名程度しかいません。
(この小学校での様々な出来事が人間不信になるきっかけだったのですが。)
なので、娘の場合は友達を作るというのは相当難しい課題なのです。
社会性というのは、気の合わない人と円満に過ごしていくことではありません。大人だって気の合わない人と一緒に何かを行うのは難しいし、嫌ですよね。まして、小学生低学年の子供にそんな要求するなんて無謀としか言いようがありません。
では、どのようにしたら社会性を育てることができるのでしょうか。
我が家では、これまでいろんな機関や人に相談してきましたが、なかなか成功しませんでした。
次に我が家の悪戦苦闘についてお話しします。
発達障害児の社会性を育てるための悪戦苦闘
療育で社会性を伸ばせるのか?
療育を行う専門家のレベルによっても異なるでしょうけど、我が家の場合には療育によって社会性が向上することはありませんでした。
ちなみに、療育は3歳から療育センターで作業療法、5歳から1年間だけグループ療育を受け、小学校の時に作業療法や言語療法をそれぞれ2~3年受けておりました。
長期間お金をかけて療育に通った割りには全く効果が無かったのですが、よく考えると、娘の場合には感覚過敏や不安神経症などの要素が強すぎたのが療育の効果を半減させていたのでしょう。安心感がなければ社会性なんて伸ばしようがないのですよね。
★我が家で受けた療育については以下の記事をご覧ください。
→療育の効果なしだった我が家の事例。早期発見でも無駄だった原因は?
発達障害児は同世代が苦手
発達障害児は同世代が苦手なケースが多いのですが、それは以下のような特性が関係しているからでしょう。
・包容力のある人でないと難しい
・同年代だと許してもらえない部分がある
私も実は、そういう傾向があります。(私の場合は聴覚情報処理障害要素があります。)
同世代がワイワイガヤガヤ楽しんでいるところに入るのがとても苦手なんですよね。空気に馴染めないって感じで。
娘も私に似たのか、発達障害だからそうなのかは不明ですが、同世代の子供達が考えていることについていけないので、集団の中に入ると一人ポツン状態になるし、皆が楽しんでいることを自分も楽しい、とは思えないのでいつも退いてしまっています。
小さい頃は対人関係なんて自分では気にしないので気付かないけれど、成長するにつれて自覚できていくようです。娘の場合は中学生になった頃、

私は同じ学年の子とは話をするのが難しいの。
それに、クラスの子を好きとは思えないよ。
と自覚することができました。
年上に友達になってもらい変化したこと
常に過敏や不安がつきまとっていた娘ですが、ラッキーなことに、小学校5年生の時の転校先で細かい配慮をしてくれる特別支援コーディネーターに出会うことができました。そして、その縁で学校とは別の、数名の良き支援者(20~30代)に出会うことができました。
そして、その人達との交流でいろんな発見がありました。
同世代は苦手な娘だけど、年上のお兄さんやお姉さんだと話せる人が多かったのです。また、その人達は娘を「対等な友達」として接してくれたのです。そして、娘の心が大きく変化していきました。
娘の主な変化は次の通りです。
・自分がなりたい将来像が芽生えた
・学校へ通う興味が湧いた
自分が好意を持つと許容範囲が広がります。また、目に入る情報も増えていきます。
自分の身だしなみなど気にしなかった娘が、その頃から

お化粧したい!
ネイルしてみたい!
おしゃれな洋服が欲しい!
など言い出したりしたのですが、それは全て

お姉さん達と同じ大人っぽい女性になりたいの!
将来は●●先生と同じような仕事がしたいの!
という願望が芽生えて、そこから色々自分で考えた結果だったのです。
発達障害の子どもの支援者に欲しい資質
とはいえ、年上だからといって全ての人に心を許したわけではありませんでした。
娘の場合は許容範囲が非常に狭くて相性が難しいのですが、心許せたのはほんの一握りの大人だけ。
どんな人が良かったかというと、
・常識を持ち出さない
・気持ちを尊重してくれる
・同じ目線で一緒に考えてくれる
こんなタイプの人でした。
娘の場合、周囲への関心が浅いし世間一般の常識を知りません。こだわりも多いので、自分の尺度で全て物事を進めようとします。なので、常識とはズレた発想や、真逆の発想もよく飛び出します。
そうなると、普通の社会だと「おかしいよ」「変だよ」となりがちですが、このお兄さんやお姉さん達の反応は全く異なったのです。
娘の口から出ること全てを面白がって聞いて、熱心に話を引き出してくれるのです。
素晴らしいと思ったのが、娘の拙い言葉を真剣に聞いてくれ、対等な関係として接してくれたこと。ここから始まる会話が毎回数十分も盛り上がり、娘も自分の気持ちや実際の出来事などを話せるようになりました。
我が家にとって素晴らしい支援者に出会えたのは超ラッキーでした。あれから4年半経ちましたが、未だに定期的に会って娘の様々な話を聞いてくれるし、今悩んでいることを相談させてもらっているのです。
さいごに
発達障害で同年代と遊べなくても、社会性を育てることは可能です。
我が家の場合はかなり遠回りしてしまったけど、不安が強かった娘でも、安心できる大人との交流で社会性が育ってきています。
ここで言う「社会性」は集団の中で円満に過ごすという意味ではありません。
発達障害だと集団生活が苦手な子供もいるし、その場合は学校等の集団生活は無理に入れさせない方が良いです。
むしろ、自分が何を感じてどうしたいのか等を自覚して相手に伝えることの方が重要だし、そういうことも社会性を育てることの1つなのです。
発達障害児が社会性を育てるには安心できる環境が必要だし、そこで過ごす子供に「相手と話したい」という希望を芽生えさせることも必要です。ここを育てると社会性の他の面も伸びていくし、社会への参加意欲も芽生えてきます。
最初は大変だと感じるでしょうけど、子供が安心できる場所でのコミュニケーションから始めて、少しずつ「安心」を広げていくといいですよ。
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